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  第9話 終

 

山の頂上である。
ひときわ大きな岩の上に、二つの人影があった。
一人は胡坐をかき、もう一人はその後ろに控えるように立っている。

 

「帰らなくていいのか」

座っている男が声をかけた。
暁である。
一時見せた人間らしさは、もうない。

「今度は、お前を捜しに来るかもしれんぞ、鴉」

もう一人は鴉であった。
暁の言葉に頷く。
その背中から、黒い翼が広がった。
その名の通り、鴉のような翼を広げ、空へと飛んでいく。

 

見送るでもなく座っていた暁は、ゆっくりと立ち上がる。
空には、雲ひとつない。
眼が痛くなるような、青空であった。

 

「…また…な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(2013年4月15日)

 

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